正社員は業務委託を掛け持ちできる?注意点や確定申告の必要性を解説
2025.12.1(月)
本業の安定を確保しながら、さらなる収入やスキルアップを目指したいと考えるビジネスパーソンが増えています。
そんな中、注目されているのが正社員として働きながら業務委託契約で副業を掛け持ちする働き方です。
この記事では、正社員が業務委託を掛け持ちするための基本的な知識から、具体的な始め方、注意点までを分かりやすく解説します。
正社員が業務委託を掛け持ちする働き方とは?
正社員が業務委託を掛け持ちする働き方とは、企業に正社員として雇用され、安定した収入の基盤を維持しつつ、別の企業や個人から業務委託を受けて仕事を行うワークスタイルです。
本業の終業後や休日などの時間を活用し、自身の専門知識やスキルを活かして、本業とは別の形で収入を得ることができます。
雇用契約と異なり、業務委託契約は特定の業務の完成や遂行を目的とするため、働き方の自由度が高いのが特徴です。
正社員でも業務委託の掛け持ちはできる?
「そもそも正社員が副業をしても良いのだろうか」と疑問に思う方もいるかもしれません。
結論から言うと、多くのケースで掛け持ちは可能です。
しかし、トラブルを避けるためには、事前に法律上のルールと、所属する会社の規則の両方を確認しておくことが不可欠です。
法律上、副業は原則として認められている
日本の法律では、正社員の副業を直接禁止する規定はありません。
厚生労働省も「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の中で、原則として副業・兼業を認める方向性を示しています。
裁判例を見ても、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされています。
したがって、法律的な観点からは、正社員が業務委託を掛け持ちすることに問題はありません。
最優先で確認すべきは本業の就業規則
法律で副業が認められていても、最も注意すべきなのは、本業の会社が定める「就業規則」です。
企業によっては、情報漏洩のリスクや本業への支障を懸念して、副業を全面的に禁止していたり、許可制にしていたりする場合があります。
就業規則に違反した場合、懲戒処分の対象となる可能性もあるため、副業を始める前には必ず自社の規定を確認しましょう。
不明な点があれば、人事部などの担当部署に副業の可否について相談することをおすすめします。
なぜ今、正社員と業務委託の掛け持ちが選ばれるのか
近年、正社員と業務委託を掛け持ちする働き方を選ぶビジネスパーソンが増えています。
その背景には、単に収入を増やすという目的だけではなく、キャリアビルディングを見据えた多様なメリットが存在します。
ここでは、多くの人に選ばれる3つの主な理由を解説します。
安定した収入を確保しながら挑戦できる
最大の魅力は、正社員としての安定した収入基盤を維持しながら、新しい挑戦ができる点です。
副業によって、手取り収入の増加や経済的な安定が期待できます。
将来的に独立や起業を考えている人にとっても、まずは副業から小さく始めることで、リスクを抑えながら経験を積むことが可能です。
本業というセーフティネットがあるため、安心して新たな一歩を踏み出すことができます。
本業に活かせるスキルや経験が身につく
副業は、新たなスキルを習得し、自身の市場価値を高める絶好の機会です。
本業とは異なる分野の業務に挑戦することで、新しい知識や技術が身につきます。
例えば、SNS運用やWebマーケティングなどのスキルは、本業の業務にも活かせる可能性が高いでしょう。
将来のキャリアビルディングにつながる人脈が広がる
副業を通じて、本業だけでは出会えなかった多様な業界の人々とつながりを持つことができます。
社外に人脈が広がることで、新しい情報や価値観に触れる機会が増え、自身の視野が大きく広がります。
この新たなつながりは、将来の転職や独立を考えた際に、貴重な財産となるでしょう。
副業は、単なる収入源ではなく、自身のキャリアの可能性を広げるための重要なステップとなり得ます。
こちらでご紹介している記事では、業務委託で新しく仕事を始める際の方法や注意点を解説しておりますので参考にしてみてください。
業務委託を始める前に知っておきたい契約の基礎知識
業務委託の副業を始めるにあたり、契約に関する基本的な知識を身につけておくことは非常に重要です。
特に、普段馴染みのある「雇用契約」との違いを理解しておくことで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、業務委託契約の基本について解説します。
業務委託契約と雇用契約の違い
最も大きな違いは、指揮命令関係の有無です。
雇用契約では、労働者は会社の指示に従って業務を行いますが、業務委託契約では、業務の進め方や働く時間・場所は基本的に受託者の裁量に委ねられます。
また、雇用契約の労働者は労働基準法で保護されますが、業務委託契約では適用されません。
そのため、社会保険への加入や有給休暇の取得などは自己責任となります。
| 業務委託契約 | 雇用契約 | |
|---|---|---|
| 目的 | 業務の完成・遂行 | 労働力の提供 |
| 指揮命令 | なし | あり |
| 労働法の保護 | なし | あり |
| 報酬 | 成果物・業務への対価 | 労働時間への対価 |
「請負契約」と「準委任契約」の2種類
業務委託契約は、法的には主に「請負契約」と「(準)委任契約」の2つに分類されます。
「請負契約」は、仕事の「完成」を目的とし、成果物を納品することによって収入を得られます。
デザイナーやプログラマーなどがこの契約形態を結ぶことが多いです。
一方、「準委任契約」は、業務の「遂行」そのものを目的としており、仕事の完成は必須ではありません。
コンサルタントや事務作業の代行などが該当します。
正社員が業務委託を掛け持ちする際の注意点
業務委託の掛け持ちは多くのメリットがある一方で、注意すべき点も存在します。
本業との両立を成功させ、トラブルなく副業を続けるためには、事前にリスクを理解し、対策を立てておくことが重要です。
ここでは、特に注意したい3つのポイントを解説します。
労働時間や健康は自己責任で管理する
業務委託は雇用契約と異なり、労働基準法による労働時間の規制を受けません。
そのため、本業と副業を合わせると長時間労働になりやすく、心身の健康を損なうリスクがあります。
本業のパフォーマンスに支障が出ないよう、無理のないスケジュールを立て、意識的に休息を取ることが大切です。
体調管理やスケジュール管理は、すべて自己責任であることを肝に銘じておきましょう。
本業との競業や情報漏洩に注意する
副業を選ぶ際には、本業の会社に不利益を与えないよう、細心の注意が必要です。
特に、本業の競合他社で働くこと(競業避止義務違反)や、本業で得た機密情報を漏洩させることは、就業規則違反となり、場合によっては損害賠償問題に発展する可能性もあります。
副業を始める前には、仕事内容が本業と競合しないか、情報漏洩のリスクはないかを慎重に確認しましょう。
契約上のトラブルを未然に防ぐ
業務委託契約では、報酬の未払いや、契約外の業務を要求されるといったトラブルが発生する可能性があります。
こうしたトラブルを防ぐためには、契約書の内容を十分に確認することが不可欠です。
特に、「業務内容の範囲」「報酬額と支払条件」「納期」「知的財産権の帰属」といった項目は、解釈の余地がないように明確に定めてもらいましょう。
口約束は避け、必ず書面で契約を締結することが重要です。
業務委託の掛け持ちをスムーズに進める4ステップ
ここからは、実際に業務委託の副業を始めるための具体的な手順をいくつかのステップに分けて解説します。
計画的に準備を進めることで、スムーズに副業をスタートさせ、成功の可能性を高めることができます。
初心者の方でも安心して取り組めるように、各ステップのポイントを分かりやすく説明します。
Step1. 本業の就業規則を確認する
何よりもまず、本業の会社の就業規則を確認しましょう。
副業が禁止されていないか、許可制や届出制の場合はどのような手続きが必要かを確認します。
後々のトラブルを避けるためにも、このステップは絶対に省略してはいけません。
会社のルールを正しく理解し、それに従うことが、安心して副業に取り組むための第一歩です。
Step2. 自分のスキルや経験を棚卸しする
次に、自分が副業で活かせるスキルや経験は何かを整理してみましょう。
これまでの業務経験や、学習してきたこと、趣味などを書き出してみるのがおすすめです。
この時、「なぜ副業をしたいのか」という目的を明確にすることで、棚卸した自身のスキル・経験が活かせる自分に合った副業を選びやすくなります。
具体的には、スキルアップや将来の独立・起業を見据えた資金のためなど副業の目的は様々ですので、何を目的に副業を始めたいか併せて考えることをお勧めします。
Step3. 自分に合った募集を探す
自分のスキルや目的に合った副業の募集を探しましょう。
探し方には、クラウドソーシングや副業エージェントなど様々な方法があります。
中でも、YOUTRUSTのような日本のビジネスパーソンに特化したキャリアSNSでは、信頼できる友人・同僚とのつながりを通じて、自分に合った募集が見つかりやすいのが特徴です。
プロフィールを充実させておけば、企業からスカウトが届くこともあります。
副業募集の探し方については、こちらの記事にて詳しく解説しておりますので併せてお読みください。

Step4. 契約内容を十分に確認してから締結する
興味のある募集が見つかり、採用が決まったら、最後のステップとして契約を締結します。
前述の注意点でも触れたように、契約書の内容は隅々まで確認しましょう。
特に、業務の範囲、報酬、納期、支払い条件、成果物の権利がどこに帰属するかといった点は重要です。
少しでも疑問に思う点があれば、必ず契約前に質問し、双方が納得した上で契約を結ぶようにしてください。
副業未経験者が押さえるべき確定申告と税金の基本
業務委託で副業収入を得ると、ビジネスパーソンであっても自分で税金の手続きを行う必要が出てきます。
特に副業未経験者にとっては、確定申告は難しく感じるかもしれませんが、基本的なルールを押さえておけば問題ありません。
ここでは、最低限知っておくべき税金の基本を3つのポイントに絞って解説します。
副業の年間所得が20万円を超えたら確定申告が必要
ビジネスパーソンの場合、副業による年間の「所得」が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
ここで言う「所得」とは、副業で得た「収入」の総額から、その収入を得るためにかかった「経費」を差し引いた金額のことです。
例えば、年間の副業収入が30万円で、経費が5万円だった場合、所得は25万円となり確定申告が必要です。
所得が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要になるので注意しましょう。
「青色申告」で節税するには開業届の提出が必要
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
青色申告は、複式簿記での記帳など手間がかかる分、最大65万円の特別控除が受けられるなど、大きな節税メリットがあります。
青色申告を行うためには、事前に税務署へ「開業届」を提出し、個人事業主になる必要があります。
本格的に副業に取り組むのであれば、開業届を提出して青色申告を選択することを検討すると良いでしょう。
副業分の住民税は「普通徴収」で納付する
副業をしていることを本業の会社に知られたくない場合、住民税の納付方法がポイントになります。
確定申告の際に、副業所得分の住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」に選択しましょう。
こうすることで、副業分の住民税の納付書が自宅に届き、自分で納めることができます。
「給与から差引き(特別徴収)」を選ぶと、本業の給与から天引きされる住民税額が増え、会社に副業が知られるきっかけになる可能性があります。
業務委託の掛け持ちで、キャリアの選択肢を広げよう
正社員として働きながら業務委託を掛け持ちすることは、収入を増やすだけでなく、スキルアップや人脈形成、そして将来のキャリアビルディングにつながる有効な手段です。
もちろん、時間管理や契約上の注意点など、乗り越えるべきハードルもありますが、この記事で解説したポイントを押さえて慎重に進めれば、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。
まずは小さな一歩からでも、新しい挑戦を始めてみませんか。
キャリアSNS「YOUTRUST」では、あなたのスキルや経験を活かせる副業の募集がきっと見つかります。まずはYOUTRUST上にプロフィールを登録して、あなたのキャリアの可能性を広げるチャンスを探してみてください。










