副業の社会保険はどうなる?加入条件と手続き、最新の影響を解説

2026.5.21(木)

副業の社会保険はどうなる?加入条件と手続き、最新の影響を解説
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副業への関心が高まるなか、本業とは別に収入の柱を築きたいと考えるビジネスパーソンが増えています。

しかし、副業を始める際に意外と見落としがちなのが「社会保険」の問題です。

本業で加入しているから大丈夫、と考えていると、思わぬ手続きや保険料の負担が発生する可能性があります。

この記事では、副業と社会保険の基本的な関係から、具体的な手続き、そして将来への影響までを分かりやすく解説していきます。

副業と社会保険の関係は?ビジネスパーソンが知っておくべきこと

副業を始める際、社会保険の知識は避けて通れない重要なテーマです。

本業の会社で社会保険に加入しているからといって、副業では何もしなくて良いというわけではありません。

実は、副業の働き方や収入によっては、副業先でも社会保険への加入が義務付けられるケースがあるのです。

社会保険の扱いは、副業が会社に雇用される「雇用契約」なのか、フリーランスのような「業務委託契約」なのかによって大きく異なります。

この違いを理解しておくことが、安心して副業に取り組むための第一歩となります。

副業の働き方によって社会保険の扱いは変わる

副業における社会保険の扱いは、どのような働き方を選ぶかによって大きく変わります。

具体的には、企業と「雇用契約」を結んで働くアルバイトやパートのようなケースと、フリーランスとして「業務委託契約」を結ぶケースで、加入のルールが異なります。

雇用契約の場合は、勤務時間や収入などの条件を満たすと、本業とは別に副業先でも社会保険への加入が義務付けられます。

一方で、業務委託契約の場合は、原則として副業先の企業で社会保険に加入することはありません。

悩んだ場合は副業先にも相談してみましょう。

アルバイト・パート(雇用契約)で働く場合の加入条件

副業でアルバイトやパートなど、企業と雇用契約を結んで働く場合、社会保険の加入条件をしっかり確認する必要があります。

本業の会社で社会保険に入っていても、副業先で以下の条件をすべて満たすと、そちらでも加入が義務付けられます

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

これらの条件は、ご自身の働き方を考える上で重要な指標となります。

2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大

社会保険のルールは常に一定ではなく、法改正によって変化します。

特に知っておきたいのが、2024年10月から施行された適用範囲拡大です。

これまでは従業員数101人以上の企業で働く短時間労働者が主な対象でしたが、この基準が「51人以上」の企業にまで広がりました

そのため、これまで対象外だった比較的小規模な企業で副業をしている場合でも、すでに社会保険の加入対象となっている可能性があります。

この変更により、より多くの人が社会保険の恩恵を受けられるようになります。

加えて、政府は今後さらに段階的に企業規模要件を撤廃する方向で議論を進めており、適用範囲がより小規模な企業にも広がっていく見通しです。

そのため、長期的には副業先の企業規模を理由とした「適用逃れ」は難しくなっていくと考えられます。

業務委託契約なら社会保険への加入は原則不要

自身のスキルを活かして働くビジネスパーソンにとって、業務委託契約は一般的な副業の形です。

この働き方の場合、原則として副業先の企業で社会保険に加入する必要はありません

なぜなら、業務委託は企業に雇用される労働者とは異なり、社会保険の適用対象外となるからです。

本業で社会保険に加入していれば、健康保険や年金はそのまま継続されるため、副業先での特別な手続きは基本的に不要です。

ただし、業務委託契約であっても、実態として副業先の指揮命令下で時間や場所を拘束されて働いていると、「実質的に雇用」と判断されるケースもあります。

このように扱われると社会保険への加入義務が発生し得るため、契約書の文言だけでなく、勤務時間や指揮命令系統といった実態の整理もあわせて行う必要があります。

本業と副業、両方で社会保険に加入する時の手続き

もし本業と副業の両方で社会保険の加入条件を満たした場合、どうすれば良いのでしょうか。

このケースでは、被保険者自身で所定の手続きを行う必要があります。

具体的には、健康保険や厚生年金について、主に利用する保険証を発行する会社を選択し、年金事務所へ届け出る手続きが必要です。

手続きを怠ると後々トラブルになる可能性もあるため、対象となった場合は速やかに行動しましょう。

健康保険・厚生年金は「二以上事業所勤務届」の提出を忘れずに

2つ以上の会社で社会保険に加入する場合、中心となる手続きが「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の提出です。

この書類で、主に保険証を発行してもらう会社(主たる事業所)を自分で選択します。

届け出は、選択した主たる事業所を管轄する年金事務所へ、事実発生から10日以内に行う必要があります。

この手続きによって、本業と副業の収入が合算され、それに応じた正しい保険料が計算される仕組みです。

この届け出を怠ると、健康保険法第208条にもとづき、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、未加入の状態が後から発覚した場合、最大2年分の保険料を遡って納付するよう求められるケースもあるため、対象となったら速やかに手続きを行いましょう。

雇用保険と労災保険の扱いはそれぞれ異なる

社会保険の中でも、雇用保険と労災保険は健康保険や厚生年金とは少し扱いが異なります。

まず雇用保険は、複数の会社で同時に加入することはできず、最も賃金の高い一つの会社でのみ加入します。

一方、労災保険は、働いているすべての会社で適用されます。

万が一、副業の業務中や通勤中に事故にあった場合でも、労災保険による補償を受けられるので安心です。

副業を法人化した場合の社会保険はどうなる?

副業として自身で法人を設立し、役員報酬を受け取る働き方を選ぶビジネスパーソンも増えています。

この場合、法人から1円でも役員報酬を受け取ると、原則としてその法人で社会保険に加入する義務が生じます

そのため、本業の会社と自分の法人の両方で加入する状態となり、合算した報酬を基準に保険料が計算されるぶん、負担が増える点には注意が必要です。

役員報酬を0円に設定すれば法人側で社会保険に加入しないという選択肢もありますが、厚生年金が積み増されない、経費計上や税務処理が複雑になるといった懸念点もあります。

判断に迷う場合は、社会保険労務士や税理士などの専門家に相談したうえで方針を決めると安心です。

副業による社会保険料と手取り、将来への影響

副業で社会保険に加入すると、毎月の保険料負担が増えるため、短期的に見ると手取り額は減少します。

しかし、これは単なる支出増と捉えるべきではありません。

支払う厚生年金保険料が増えるということは、将来受け取れる年金額が増えることにつながります

長期的な視点でキャリアビルディングを考えるビジネスパーソンにとって、これは重要なポイントと言えるでしょう。

また、健康保険から支給される傷病手当金などの額が増える可能性もあります。

本業と副業の収入合算で保険料が決まる仕組み

副業先でも社会保険に加入した場合、保険料はどのように決まるのでしょうか。

答えは、本業と副業の収入を合算した金額を基準に計算されます。

まず、すべての勤務先からの月収を合計して「標準報酬月額」という基準額を決定します。

そして、その基準額に対する総保険料を算出し、各社の収入額の割合に応じて按分した金額が、それぞれの給与から天引きされる仕組みです。

例えば、本業の月収が30万円、副業の月収が15万円の場合、合計の45万円を基準に標準報酬月額が決まります。

そして、その標準報酬月額に対する総保険料を本業と副業で2対1に按分し、それぞれの給与から天引きされる流れです。

これはあくまで目安であり、実際の金額は標準報酬月額の等級や保険料率によっても変動します。

手取りは減るが、将来もらえる年金が増えるという考え方

副業による社会保険加入で手取りが減ることは、一見すると注意点に思えるかもしれません。

しかし、これは長期的な視点で見ると、将来への自己投資と捉えることができます。

支払う厚生年金保険料が増えることで、老後に受け取る年金額が着実に増えていきます。

さらに、万が一病気やケガで働けなくなった場合に支給される傷病手当金の額も増えるなど、セーフティネットが手厚くなるメリットもあります。

副業の社会保険でよくある疑問を解消

副業と社会保険については、複雑な制度だけに多くの疑問が寄せられます。

「手続きをすると、本業の会社に副業のことが伝わってしまう?」
「もし手続きを忘れたらどうなるの?」

などの不安を感じる方も少なくないでしょう。また、扶養の範囲内で働きたいと考えている方にとっては、「年収の壁」も気になるところです。

ここでは、そうしたよくある疑問について、一つひとつ解説していきます。

社会保険の手続きで、本業に副業が伝わる可能性はある?

副業を始める上で、本業の会社に知られることを懸念する方は多いでしょう。

社会保険の手続きを進めると、本業の会社に副業の存在が伝わる可能性があります。

本業と副業の収入を合算して社会保険料が計算され、その決定通知書が本業の会社に届くためです。

これにより、本業の給与から天引きされる保険料額が変動します。

経理担当者がその変化に気づき、副業を推測する可能性は否定できません。

より可能性が高いのは住民税からの発覚ですが、これは確定申告の際に徴収方法を選択することで対策が可能です。

加入手続きをしないとどうなる?

社会保険の加入条件を満たしているにもかかわらず、手続きを怠るとどうなるのでしょうか。

これは法律で定められた義務であるため、発覚した際には遡って保険料を支払う必要があります。

場合によっては、最大2年分の保険料と延滞金を一括で請求されるケースもあります。

また、本来受けられるはずだった保障が受けられなくなるだけでなく、副業先の企業にも迷惑をかけることになるため、加入義務が生じたら必ず手続きを行いましょう。

扶養の範囲で働きたい場合の「年収の壁」

「年収の壁」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

これは主に、配偶者などの扶養に入りながら働く場合に意識すべき収入の上限です。

例えば、年収が一定額を超えると、扶養から外れて自分で社会保険に加入しなければならなくなります。

代表的なのが「106万円の壁」や「130万円の壁」です

本業で社会保険に加入しているビジネスパーソン自身も、副業の収入によっては社会保険料の計算に影響が出たり、副業先での加入義務が発生したりするため、無関係ではありません。

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副業における社会保険の仕組みは少し複雑に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば決して難しいものではありません。

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担当メンバー

YOUTRUST 編集部

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20代〜30代のビジネスパーソン向けに、副業探しやイベント企画などビジネスシーンに活用できる学び・情報を発信するメディアを運営しています。これから新しいことにチャレンジをする方に向けて、副業やイベント運営などの基礎情報から事例インタビューまで幅広くお届けしています。

税理士・高橋 通彰(たかはし みちあき)

高橋通彰税理士事務所

1999年中央大学法学部法律学科卒業後、アーサーアンダーセン税務事務所、税理士法人東京シティ税理士事務所、KPMG税理士法人を経て、中小企業・個人事業主の良きビジネスパートナーとなるべく2012年独立。2003年税理士登録。主に不動産税務、国際税務、企業再編税制、組織体税制等に従事。セミナー講師、執筆活動、税務部門の立ち上げ支援など幅広く活躍。個人事業主、ベンチャー企業、大企業と顧問先多数
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